「第8話」二次相続を考えた賢い遺産分割
二次相続を考えた賢い遺産分割
よく聞く相続税対策は、危険がいっぱいです!
今週は一次相続と二次相続の違いについて、少し深く掘り下げていきましょう。
第4話でもお話ししましたが…
相続は一度で終わるものではありません!
多くの方がこの一次相続と二次相続の両方を経験することになると思いますが、相続税はなるべく少ないに越したことはないですよね。
お子さんやお孫さんに少しでも多くの財産を相続させるためには『二次相続』まで考えて遺産分割をすべきなのですが、そもそも二次相続とはどういうことなのか、今回は第4話でお話しした内容の復習も兼ねて、紐解いていきましょう。
「例えば」
両親のうち父が亡くなり、母と子供たちが相続をする事を『一次相続』といいます。
そして…
その後、母も亡くなり子供たちだけで相続をする事を『二次相続』といいますが、一般的にはどちらも同じ『相続』として認知されているのではないでしょうか?
同じように起こる相続ですが、一次相続と二次相続を比較してみると…
二次相続では
①被相続人の財産が増える上に配偶者控除が使えない。
②相続人の1人が減るので基礎控除額が減る。
③小規模宅地の特例が適用できない場合がある。
以上のことからも、父と母どちらもご健在のうちに、何かしらの対策をしておくことが大事になります!
今回は、二次相続を考慮した場合と考慮しない場合の影響や、なぜそのようになってしまうのか?その対策は?等についてお話していきますので、二次相続を踏まえた対策ができるように、まずは基礎知識をつけていきましょう。
【1.二次相続を考えた場合と考えなかった場合の影響】
一次相続の際に税金がかからなくかるからといって、配偶者控除を最大限に活用した分割をするのではなく、一次相続と二次相続をトータルで考えた遺産分割をしなければ、結果的に多くの相続税を納めることになってしまうというような結果にもなりかねません。
縦軸:相続納税額 横軸:配偶者一次相続割合(%) ■一次相続税額? ■二次相続税額
【2.一次相続と二次相続の違い】
① 一次相続の特徴
一次相続の特徴として、一次相続の際には配偶者の税額軽減が利用できるため、配偶者が多く相続した場合は、相続税が少なくなります。
また、被相続人と配偶者は自宅で同居をしているケースが多いため、小規模宅地の特例が使えます。
残された方の親が全ての財産を受け取ったとしても、相続税がゼロとなるケースは多いのです。
したがって、一次相続は相続税に対してあまり対策等を考えなくても乗り切れてしまうことが多いと言われています。
その他にも、親が子供達で揉めそうな状況になった場合に、仲裁に入ったりすることもできるため、争いが起きにくいという特徴もあります。
②二次相続の特徴
二次相続では、残された子供たちが財産を受け取ることになります。
二次相続は配偶者控除が適用されなかったり、子供が親と同居をしていない場合には小規模宅地の特例も適用されないことが多いため、評価を8割減の状態で受け取ることができません。
さらに、親が亡くなったことにより法定相続人数が1人分減るので、基礎控除額が600万円も減ってしまいます。
これらが二次相続で問題とされている点です。
③配偶者控除が使えない影響
配偶者控除とは、配偶者の取得した財産が法定相続分または、1億6,000万円のどちらか多い方までなら、配偶者には相続税がかからない制度です。
この制度は、配偶者の相続税が大幅に軽減できる大変有利な制度ですが、この制度を利用して配偶者に多く財産を残すことが、必ずしも得策とは言えないのです!
これだけ聞くと「なんで?」となりますよね。
一次相続の際に、配偶者控除を最大限利用して配偶者に多くの財産を分割した場合、二次相続の際には、その財産が子供たちに配偶者控除が使えない状態でのしかかってくるのです!
④小規模宅地の特例が使えない影響
小規模宅地の特例とは、被相続人所有の自宅に同居をしていた者が、その自宅を受け取った場合、330㎡までなら5分の1(20%)の評価額で相続できるという制度です。
「例えば…」
父母と子が同居をしている家族で父の相続が起きたとします。
その際に、二次相続においても相続税の納税が予想される場合には、小規模宅地の特例はできるだけ「子だけ」で受けた方が節税対策につながります。
なぜなら…
母には配偶者控除が使えるため、小規模宅地の特例を受けてなくても1億6,000万円までは控除されるので、ほとんどの場合は課税がされないからです。
※配偶者控除を受けられる母が、わざわざ相続税のかからない財産を取得すると、母の相続税申告のときに不利な結果となってしまいます。
⑤相続人が1人減る影響
相続税は、「法定相続人が法定相続分で取得したものとして計算した金額」に、それぞれ税率を乗じて計算し、さらにそれを合算して相続税の総額を計算します。
もともと相続税というのは二次相続対策が必要といわれてきましたが、平成27年に税制改正があったことにより、その必要がさらに増してきています。
※平成27年の税制改正により、1人あたりの基礎控除額が400万円も減りました。
【3.相次いで亡くなった場合の特例】
①-1 相次相続控除(そうじそうぞくこうじょ)
例えば、ある人が3年前に父親を亡くしたとします。
それから3年経って今度は母親を亡くしてしまったとします。
そのような場合、父親の財産を相続した後、またすぐに母親の財産を相続することになります。
このように相次いで相続が起こることを「相次相続」といいます。
短期間に相続が何回も起こるとで、相続を受ける人は大変な思いをします。
なぜなら前の相続で相続税を払っても、すぐにまた同じ財産に相続税がかかってくるのです。
そこで一定の金額を相続税から引いて、相続税の負担を軽くしてくれる制度があります。
これを「相次相続控除」といいます。
①-2 適用条件
相次相続控除は、二次相続の際に一次相続で支払った相続税の、一部を差し引くことができる制度です。
但し、以下の要件を満たしていないと適用はされません。
①一次相続から二次相続までの期間が10年以内であること。
②二次相続の被相続人が、一次相続の相続人であること。
③二次相続の被相続人が、一次相続で財産を取得し、相続税が課されたこと。
①-3注意点
また、相続放棄をした人や、相続権を失った人が遺贈により財産を取得した場合では、相次相続控除の適用はできませんのでご注意ください。相次相続控除の適用者は、二次相続の相続人に限られます。
【まとめ】
今回は二次相続とはどのようなものか?二次相続が起こったときにどのようなことが起こるのか?二次相続を考えた際の対策、また、父と母が立て続けに亡くなってしまった際にどのような救済処置があるのか?についてご紹介させて頂きました。
以上のことから、
一次相続の段階で財産のほとんどを配偶者に分割せず、配偶者の財産状況や二次相続の発生までどれくらいの余地があるのか?
どの財産を誰に相続するのか? など・・・
しっかり次の相続を考えることが大切だと、ご理解いただけたのではないでしょうか?
弊社ではこれらの諸要因を全て検討に入れて、いくつかのパターンシミュレーションを行い、総合的に今回の相続でどれだけ配偶者が相続するのがベストかをご提案します!
平成27年に税改正され、より一層二次相続に対して生前から考える必要性が出てきました。
「二次相続には、生前からでしかできない対策がいくつもあります。」
財産を残す方がまだ元気なうちに、対策に臨むことをお勧めします!
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まだ先のことだが、子や孫の代で苦労しないためにしておけること…など、
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次回は「貸付事業用の小規模宅地特例に大きな税制改正」についてお話します。
どうぞお楽しみに!