賃貸管理

賃貸経営において資産管理法人を設立するメリット・デメリットをご紹介

賃貸経営において資産管理法人を設立するメリット・デメリットをご紹介

賃貸経営を効率的にするためにはさまざまな工夫をおこなわなければなりません。
そのなかでも「資産管理法人の設立」は効果が大きいものとして知られています。
しかし、資産管理法人を設立することはメリットだけでなくデメリットもあるものです。
そこで、ここでは賃貸経営において資産管理法人を設立するメリット・デメリットをご紹介します。
賃貸経営がうまくいっている方、これから賃貸経営を始めようとお考えの方は、ぜひごご確認ください。

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賃貸経営における資産管理法人とは?

賃貸経営における資産管理法人とは?

まずは賃貸経営における資産管理法人とは何であるのかを確認し、具体的な手順を確認してみましょう。

資産管理法人とは

まず、資産管理法人とは不動産や株などの管理を目的として設立する会社法人のことです。
資産管理会社は一般的な会社とは異なり、企業活動はおこなわず資産管理のみをおこないます。
ですので、資産管理会社はプライベートカンパニー(個人のための会社)と呼ばれることも多いです。
現在、2006年に施行された新会社法より資本金1円でも会社の設立が可能となっています。
そのため、賃貸経営をおこなっているすべての方が資産管理法人を設立することが可能です。
のちに述べるメリット・デメリットを確認し、自分に合っていると感じた方は資産管理法人の設立を進めていきましょう。

資産管理法人を設立する手順

資産管理法人を設立する際は主に以下の手順で進めていきます。

●会社情報の整理
●必要書類の準備
●法務局・税務署へ書類を提出

まず、資産管理法人を設立するためには登記に必要な情報を整理する必要があります。
一般的には、社名、所在地、出資者、資本金、決済月を決めることが必要です。
次に、必要書類は、代表者・会社・銀行それぞれの印鑑、定款(会社のルール規定)、登記書類、開業届、株主の就任承諾書、出資金、設立費用が必要になります。
定款、登記書類、開業届、株主の就任承諾書の作成は個人では難しいこともあるかもしれません。
もし、作成が難しい場合は税理士など専門家へ相談しながら作成していきましょう。
そして、必要書類の作成・記載が終わったのちには、登記書類を法務局へ、開業届を税務署へ提出します。
これら書類が承諾されると資産管理法人の設立が完了です。

賃貸経営で資産管理法人を設立するメリットとは

賃貸経営で資産管理法人を設立するメリットとは

賃貸経営を効率的にするためには資産管理法人の設立がおすすめと言われますが、なぜ資産管理法人の設立が効率的な賃貸経営につながるのでしょうか。
ここでメリットについて確認し、自身の賃貸経営では設立すべきかどうか確認していきましょう。

メリット①節税効果がある

資産管理法人の最大のメリットは節税効果です。
日本の税制では個人と法人でかかってくる税金が異なります。

個人では所得金額に準じて15%~55%の税率がかかりますが、法人では約33%で一定です。
たとえば、所得金額が4,000万円を超える場合の税率は以下のようになります。

●個人:55%(所得税45%、住民税10%)
●法人:約33%(法定実効税率)

ここで、法定実効税率とは法人税、事業税、住民税などを含めて決定される税率のことです。
このように個人の税率が33%を超える場合は法人化すると節税が可能です。
超えるタイミングは所得金額900万円となっているため、賃貸経営の収入が900万円を超えているのであれば資産管理法人の設立がおすすめになります。
まずは賃貸経営で得ている収入額を確認しましょう。

メリット②所得分散

資産管理法人の株主・代表者は自分であるため従業員を雇う権利を持っています。
ですので、家族を従業員とすることも可能です。
もし、家族を従業員とすると給与を渡すことができ、所得の分散をおこなえます。
前述のとおり、税率は所得額にかかってくるものであるため、所得の分散は節税につながるのです。
もし、家族を従業員とできる場合は所得分散をおこなっていきましょう。

メリット③相続税を軽減できる

資産管理会社を設立すると賃貸経営で得た資産は会社のものです。
もし、資産管理会社の代表者が亡くなったり交代したりしても相続とは扱われず、会社の代表者が変わったとして扱われます。

そのため、資産管理法人を設立して、子どもや婚約者を次の代表者とすることで相続税がかからずに資産の譲渡がおこなえるのです。
賃貸経営で得た資産を家族に残しておきたい方は大きなメリットになります。

メリット④経費にできるものが出てくる

個人でも経費とできるものはありますが、会社ではより多くのものを経費とすることが可能です。
たとえば、会社では以下のようなものを経費とすることができます。

●生命保険料
●自宅の家賃や支払い利息
●家族に支払う役員報酬
●退職金

その他にも経費にできるものは税理士など専門家へ問い合わせることをおすすめいたします。
ここでは会社は個人よりも多くのものを経費にできると認識しておきましょう。

賃貸経営で資産管理法人を設立するデメリットとは

賃貸経営で資産管理法人を設立するデメリットとは

資産管理法人は賃貸経営を効率的にしますが、いくつかのデメリットもあります。
デメリットについても確認し、メリットのほうが大きいのであれば設立を進めていきましょう。

デメリット①設立コストがかかる

会社は1円から設立することが可能ですが、それはあくまでも資本金の話です。
実際には登記をする際に以下のような費用がかかってきます。

●収入印紙代:40,000円
●認証手数料:50,000円
●謄本手数料:2,000円
●登録免許税:150,000円
●実印作成代:5,000円~
●印鑑証明取得費:300円~
●登記簿謄本発行費:500円~

すべてを合わせると250,000円~になります。
このように設立時にかかるコストは考えておかなければなりません。

デメリット②維持コストがかかる

個人と比べると税率は下がりますが、会社にも税金はかかってきます。
会社を維持するためには法人における税金を支払っていくことが必要です。
また、経費処理などは慣れていないと難しい場合もあるため、税理士へ依頼をすることが多くなっています。
そのため、税理士への報酬費用も資産管理法人の維持コストとかかってくることに注意しておきましょう。

デメリット③長期譲渡所得の制度を利用することができない

長期譲渡所得の制度とは、5年以上所有している物件を売却する際に所得税が低くなる制度です。
具体的には、5年を超えていないと譲渡益に39%、5年を超えていると20%となります。
しかし、前述のとおり法人にかかる税率は約33%で一定であり、長期譲渡所得の制度を受けることができません。
賃貸経営において売却をする可能性があるのであればこちらを考慮することが必要になります。
ただし、賃貸収入にかかる税金は下げることができるため、自身の賃貸経営がどのような方針で進めていくのかによって法人化するべきか考えなければなりません。

もし、5年~10年など短期的なサイクルで売却をおこなっていくのであれば法人化はおこなわず個人投資家として進めていくのが良いかもしれません。
自分はどちらが良いのか不明であれば不動産会社や税理士にご相談ください。

まとめ

今回は賃貸経営において資産管理法人を設立するメリット・デメリットをご紹介しました。
所得が900万円を超えており、短期的な不動産売却をおこなわない場合は資産管理法人の設立がおすすめです。
手順や必要書類を再確認し、手続きをスムーズに進められるようにしていきましょう。

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