賃貸経営をする際に、物件を自分で管理する自主管理は、委託するための経費が掛からないというメリットがあります。
しかし自力でするとなると「知識もなくむずかしそうで書類を作成することができるか」と、考える方も多いのではないでしょうか。
この記事では、自主管理するのであれば作ることになる、賃貸借契約書の作り方やデメリットについてご紹介します。
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賃貸借契約とは?取り交わす必要性について
この章では、賃貸借契約とはどのようなものか、なぜ取り交わす必要があるのかを解説します。
賃貸借契約とは?
賃貸借契約という言葉はあまりなじみがなく、家を借りる際にとても戸惑うかもしれません。
不動産の賃貸借契約では、お金を払って物件を借りる人を借主(賃借人)、貸す側の人を貸主(賃貸人)と言います。
意味としては、貸主と借主との間で物件の貸し借りについて、交わす約束を言います。
借主と貸主は、記載した書面である賃貸借契約書を、取り交わすのです。
関係する法律としては、民法と借地借家法があります。
物件の貸し借りについて、契約の基礎になる考え方は、民法に準じています。
また、トラブルが発生した際にとくに取り決めがない場合は、民法によって解決するのです。
契約はお互いが平等であるべきですが、借主と貸主では知識や経験、情報量に大きなギャップがあります。
この差を埋めて、弱い立場の借主が不利にならないよう施行されている特別法が借地借家法です。
したがって、賃貸借契約では民法よりも、借地借家法が優先されます。
賃貸借契約を取り交わす必要性
契約自体は口約束でも、契約内容に同意が得られれば成立します。
したがって、この契約書の作成が、義務付けられているものではありません。
法律上はなくても問題はないのですが、なぜ必要なのでしょうか。
1つ目は、貸主と借主の双方で取り交わした契約内容が明確になることです。
2つ目が、裁判になった場合には証拠としても使えること。
3つ目は、問題点があるのかないのかを第三者の視点で分析できることです。
上記の3つのポイントから、トラブルを防ぐためにも、契約書をかわす必要があると言えます。
重要事項説明書と賃貸借契約書との違い
重要事項説明書とは、賃貸借契約を結ぶ前に大切なポイントを、確認するための書類です。
一般的には重要事項説明書の説明を受けた後に、契約書を取り交わす流れとなります。
自主管理なら、重要事項説明書を交付する必要はありません。
仲介不動産会社の宅建士が交付するよう義務化されていますが、個人同士では渡さなくても違法にはなりません。
しかし、重要事項説明書を交付すると、借主と貸主との間で勘違いを防ぐ効果もあります。
後々のトラブルを防ぐために、不要なケースであっても、重要事項説明書を準備しましょう。
賃貸借契約書は自分で作成できるのか?
法的な拘束力を持っている書面ですが、資格がいるわけではなく、自分で作成することも可能です。
しかし、内容によってはトラブルに発展する可能性もあるため注意が必要です。
まず、物件情報や設備・残置物が記載されています。
その他にも、金銭的な取り決めや契約期間などが盛り込まれているのです。
そのなかでもとくに重要な項目を、4つご紹介します。
賃貸借契約の種類や契約期間
契約書になるので、まず賃貸借の有効期間を記載します。
また、普通借家と定期借家の2種類があります。
普通借家契約では、基本的に決められている契約期間は2年のものが多く、とくに理由がなければそのまま自動更新になるのです。
借主に問題がなければ、貸主より契約解除しにくいと言えます。
もう一方の定期借家契約は、前もって期間が決まっているので、満了になった時点で終了となります。
したがってお互いの同意があれば再契約するようになるため、契約終了時は貸主にとって、意向をくみ取ってもらいやすいと言えるのです。
ですから、契約をどちらの種類にするか考えて記載します。
金銭についての取り決め
契約書のなかでも重要な部分で、家賃や共益費の額や支払い方法などを記載します。
敷金の額や設備使用料などについても明記します。
次に、家賃滞納された場合にどうするのかを記載しておくと、いざ起こったときに対処しやすくなります。
さらに敷金を預かるのであれば、金額のほかに契約満了後の返金に関する手続きについて、記載しておくことも大切です。
特約
基本的な契約にある条文以外の事項がある場合は、特約を書きます。
よくある項目として、ハウスクリーニング代の負担についてですが、他にもさまざまな内容が盛り込まれています。
標準契約書にない部分として喫煙や楽器演奏についての禁止、契約更新における更新料などもよくあるケースです。
これらについても賃貸条件として記載しておくと、契約書に明記されていないというトラブルを防げます。
契約解除についての条件
借主が退去を告知する際の方法や、いつまでに報告しなければならないかなどを決めます。
また貸主が契約を解除する際、どれぐらい前にどのような方法で告知するのかを記載します。
一般的には、借主からの場合は1か月前までで、貸主からの場合は6か月前からです。
また、契約期間中の解除について違約金の設定をしていない契約書が多く、契約書に記載している期間までであれば違約金が発生しないことが多いようです。
賃貸借契約書を自作する際のデメリットとは?
賃貸借契約書を自作するのは、あまりおすすめできません。
ここではどんなデメリットがあるか、3つ挙げてみました。
面倒である
前の章では、作る方法をお伝えしてきましたが、どのように感じられたでしょうか。
内容も難しく、手間が掛かりそうで方法を知ったところで、自分にできるかどうか不安になる方も多いでしょう。
もしできるかもしれないからと素人が作成すると、書類として不十分だった場合に時間がかかるのは、貸主としては大きなデメリットと言えます。
資料を作ることが手間に思うのなら、やめたほうが無難です。
本業も忙しいのであればなかなか物件管理のために時間を取れないこともあるでしょう。
自主管理ではなく委託をするのであれば、賃貸借契約に係わる書類は、管理会社に作成してもらいましょう。
プロに委託するので結果的に時間を取られず、本業についても無理なく継続できます。
少しのミスでトラブルが発生するかも
法的な拘束力のある書類であるだけに、記載している内容が間違っていたり抜けていたりすると、貸主にとって不利な条件になる恐れもあります。
また自主管理になると一緒に考えてくれるプロの目がないため、不備があったとしても気がつかずに、契約が成立してしまうことも考えられます。
簡単な内容についてはインターネットで調べるとたくさん出てきますが、内容が理解できなかったり間違った捉え方をしてしまったりと、後に重大な問題に発展してしまう可能性もあるのです。
貸主は賃貸経営に慣れていないと言っても法的な効力もあり、判断を間違ってはいけないところです。
記載漏れによるトラブルの可能性
契約書に記載しなければならないことが抜けたまま成立してしまうと、借主との間でトラブルになったとしても責任の所在などが記入されていないため、話し合いで解決しなければなりません。
契約書に記載されていれば書いてあるように進めていけば良いのですが、記載がないとこじれる原因になります。
家賃を滞納されたり期間を過ぎて退去してもらえなかったりすると、貸主として向き合わなければなりません。
したがって、管理会社に委託したほうが得策と言えるでしょう。
まとめ
今回は賃貸経営において、自主管理をした場合の賃貸借契約書についてご説明しました。
入居後のトラブルを防ぐためには、自主管理をするにしても賃貸借契約書を取り交わすことを推奨します。
やはり難しいと感じるのであれば、管理会社へ業務委託を検討してみてはいかがでしょうか。
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