賃貸管理

孤独死の残置物に対処できる「モデル契約条項」とは?受任者の要件もご紹介

孤独死の残置物に対処できる「モデル契約条項」とは?受任者の要件もご紹介

孤独死が発生した場合、残置物をトラブルなく処理できる方法を知りたい賃貸経営者もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、孤独死のリスクや、孤独死の残置物に対処できる「モデル契約条項」とはなにか、受任者の要件についてご紹介します。

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孤独死のリスクとは?賃貸物件の残置物に対する基礎知識

孤独死のリスクとは?賃貸物件の残置物に対する基礎知識

賃貸物件で孤独死が発生すると、物件運営者は残置物の処理や原状回復などの手間や費用がかかります。
単身者が借主の場合のリスクを把握し、適切な対処法を身に着け、トラブルを未然に防ぎましょう。

増加傾向にある孤独死!リスクがあるのは高齢者だけ?

孤独死とは、単身者世帯で亡くなり、死後発見したケースです。
国勢調査では、単身者世帯は2005年の29.5%から2020年には38.1%にまで増加しています。
さらに、単身者世帯予備軍である夫婦2人世帯をくわえた場合、世帯全体の58.2%です。
賃貸物件内での孤独死に関する集計は、一般社団法人日本少額短期保険協会がまとめた「孤独死現状レポート」が参考になります。
2015年4月~2022年3月の集計結果では、賃貸物件内での孤独死は6,727件です。
2015年4月~2016年1月は440件ですが、2019年4月からの1年間は1,056件、2020年には1,095件、2021年は1,184件まで増えています。
また、2015年4月~2022年3月までに亡くなった方の60%は60歳以上、40%は20~59歳、平均年齢は61.9歳です。
孤独死は高齢者の問題と考えがちですが、若い世代もリスクとは無縁ではありません。

孤独死による賃貸物件のリスクとは?

賃貸物件内で孤独死が発生した場合のリスクは、借主が亡くなっても賃貸借契約は継続する点です。
契約は相続人が引き継ぐため、貸主からの契約解除はできません。
相続人は賃料の支払い義務を負うため、貸主は相続人に請求することになります。
相続人から申し出があったときは話し合いができますが、相続人に連絡が取れないときは、賃料の回収はもちろん、残置物の搬出もできません。
このほか、親族がおらず相続人がいない場合や相続放棄により引き継ぐ方が確定できないときは、家庭裁判所による手続きが必要です。
2015年4月~2022年3月に少額短期保険の孤独死保険で対応した平均金額は、87.6万円でした。
内訳は、残置物処理に約23.5万円、原状回復は特殊クリーニング費用も含めて約33.4万円、家賃保証が約30.7万円です。
保険で対応できない事例もあり、実際の損害額はさらに高額になります。

孤独死を想定したモデル契約条項とは?

孤独死を想定したモデル契約条項とは?

国土交通省は、2021年6月に「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を発表しました。
孤独死の増加にともない、高齢者が賃貸物件に入居できなくなる事例が多発する事案への対策です。
新たな契約条項への理解を深め、適切な対応への準備を整えましょう。

国交省の定めたモデル契約条項とは?

借主が亡くなったときに、賃貸借契約や残置物への対応をスムーズにおこなえるように、できるものです。
モデル契約条項では、賃貸借契約を締結する際、借主が亡くなったときに備えて、貸主が借主以外に「受任者」と契約できるようになりました。
さらに、残置物に関しても、事務処理を委任できるように定めています。
本来、賃貸物件内にある物品は相続財産であるため、相続人が対応しなければなりません。
モデル契約条項では、廃棄するか指定先へ送付するかの事務処理を、受任者に委任できるとしています。
入居する際に、借主が相続財産として残したい私物を指定し、送付先を指定できるようになりました。
そのうえで、受任者は借主が亡くなって賃貸借契約が終了し、一定期間が経過したときに限り、相続財産以外の残置物を廃棄できるとしています。

賃貸物件の残置物への対処法への影響

従来は、相続人が見つからない場合、貸主は残置物を搬出できませんでしたが、モデル契約条項により、受任者に事務処理や廃棄を委託できるようになったのが変更点です。
過去には、早期に私物を搬出し、ハウスクリーニングなどをおこないたい貸主に対し、勝手に撤去したとする相続人との間で訴訟に発展するケースも珍しくありませんでした。
また、連帯保証人を契約条件にしている場合は、賃料の支払いや原状回復費用は、連帯保証人が責務を負います。
しかし、契約を締結したときだけの関係になっている場合が多く、借主が亡くなったあとは連絡が取れないのが実情です。
今回のモデル契約条項により、連帯保証人の有無にかかわらず、受任者を定めれば、借主が亡くなったあとの残置物処理に関しては心配がなくなりました。
しかし、賃料に関しては、相続人や連帯保証人が支払い義務を負う点は変わりません。
管理会社や保証会社との契約など、孤独死へのリスク対応が万全であるか確認しましょう。

孤独死の残置物を処理できるモデル契約条項の受任者の要件

孤独死の残置物を処理できるモデル契約条項の受任者の要件

賃貸物件のモデル契約条項で借主の私物を処分する業務を担う受任者に関して、賃貸物件の運営者は知っておかなければなりません。
受任者になるための要件や、貸主は該当するのかなどを知っておくと役立ちます。

モデル契約条項の受任者の要件

モデル契約条項の受任者は、賃貸借契約の解除や相続財産に関する手続きを借主から委任を受けた立場です。
要件としての条件は定まっていませんが、担う役割を考慮すると、借主の相続人が要件を満たします。
相続人の場合、要件に該当するのは子であり、子がいないときは孫です。
子や孫がいない場合は直系尊属の父母、続いて兄弟姉妹など、相続順位を参考にします。
相続人がいない場合は、社会福祉法人や居住支援法人など、福祉関係の法人が要件を満たし、該当者がいないときは賃貸物件の管理会社でも可能です。
あくまでも、相続人も福祉関係者もいない場合の措置である点に注意しましょう。
また、貸主は、借主が亡くなった場合に交渉する相手となることから、受任者にはなれません。

受任者のおこなうことは?

受任者がおこなうことは、借主が亡くなったあとの賃貸借契約の解約手続きと残置物の処理事務です。
契約を解除する手続きは、単独でおこなうことはできません。
手続きをおこなう前に、すべての相続人に対して、今後契約を引き継いで賃貸物件を利用したいかを確認します。
賃貸物件内に残っている私物の処理事務は、指定を受けた財産を相続人に送付し、そのほかは廃棄処分する際の手続きが対象です。
そこで、モデル契約条項のある賃貸借契約を締結したときの借主は、財産目録を作成しておきます。
財産の内容を記すとともに、相続人の誰に渡すか、廃棄するかなど、財産の処分方法も明確にしておかなければなりません。

モデル契約条項が向かないケースは?

連帯保証人を依頼できないケースを想定した条項であるため、連帯保証人を条件にしている賃貸借契約は、モデル契約条項に向いていないケースです。
連帯保証人の代わりに保証会社と契約しているケースも、向いていません。
国交省では、モデル契約条項を高齢者の賃貸物件への入居を推進する目的としていることから、借主が60歳未満の場合は積極的な利用は避けるようにしましょう。

まとめ

孤独死は増加傾向にあり、賃貸物件では残置物などへの対応に苦慮する運営者もいます。
国土交通省は、孤独死のリスクを緩和する目的でモデル契約条項を定めました。
受任者に賃貸借契約の解除と残置物の処理事務を委託する内容であり、相続人のなかから選ぶと要件を満たす適任者です。

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