古くからある長屋式住宅は、長く連なった建物に複数の住戸が入る構造をしているため、たった1部を所有する個人には売るのが難しいと悩んでいませんか?
独特の構造を持つ長屋とはどういう建物を指しているのか、売却が困難と言われる理由から、おすすめの売却方法までを解説します。
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長屋式住宅とは?構造・時代の移り変わりから見える住まいの形
長屋式住宅や長屋という言葉を聞くと、時代劇でよく見る平屋の横一列に並んだ長い木造住宅をイメージしませんか?
長屋式住宅とは?江戸時代から現代までの移り変わり
長屋式住宅の歴史は古く、江戸時代の都市部で流行した町人や職人の住まいから始まり、現代でも狭小な敷地に建築可能な建物として残っています。
江戸時代では、資産のある中層以上の商家は大きな道に店舗と住居を兼ねた住まいを所有していましたが、一般の町人や職人などは裏手にある長屋での借家暮らしをしていました。
各部屋には外に直接繋がる出入り口があり、トイレと水場は共同で使えるものが外に設置されるスタイルです。
この構造は現代でもそのまま活かされており、1つの住まいとして独立した住居が壁を接した状態で連なった連棟式住宅とも呼びます。
現代ではトイレや風呂などの水回りは個別に設置されるようになりましたが、長屋としての特徴は江戸時代のままです。
このような奥に長い構造の住宅が、なぜ長い歴史を経ても残り続けているかというと、狭小地に複数の住宅を建てることができるからです。
現在では長屋とは呼ぶことは少なくなり、テラスハウスやタウンハウスと若い層に受け入れやすい呼び名に変わっています。
アパートなどの共同住宅との違いとは?
外観上からは、長屋式住宅も現代のアパートや一部のマンションなども同じように見えますが、建築基準法上でアパートなどの共同住宅との違いが明記されています。
長屋式住宅とは、2つ以上の住宅を1棟に建て連ね、各住宅が壁を共通して、住宅ごとに外への出入口を有しているものです。
アパートなどの共同住宅とは、階段や廊下を共有する住宅のことで、賃貸アパートも賃貸マンションも建築基準法上では同じ区分に分類されます。
細かい点では、接道の幅や建築基準法による強い建築制限などがありますが、住む方にとっては外見が多少違う程度にしか感じられないでしょう。
長屋式住宅の売却が困難と言われる理由とは?
古くから日本の住宅の形として受け継がれてきた長屋式住宅ですが、売却するには少々困難とされる2つの理由を解説します。
再建築・リフォームを自分1人ではおこなえない
長屋式住宅は壁が隣の住戸と接しているため、自分の住居部分だけを再建築やリフォームしようとするのが物理的に困難です。
廊下や階段などの共用部分はありませんが、壁1枚を隔てて建物が繋がっているので、隣の住居部分に影響を与えてしまいやすい構造をしています。
もし、大がかりな修繕をおこないたいとした場合には、隣にどのような影響が出るのか、隣の住人がそれを承諾してくれるか、場合によっては隣の住居部分も同時に工事をしなくてはなりません。
耐震基準が見直され続ける近年では、厳しい耐震基準をクリアするべく、建物の構造を補強する工事が増えていますが、上記の理由により工事そのものが難しいです。
個別の住宅とするために建物の切り離し工事を隣の住人と合意しておこなう場合には、それぞれの建物で接道要件や耐震基準を満たさなければ、建築許可がおりません。
どのような工事をするにも隣の住人に承諾を得て足並みを揃えなくてはならないのが、売却をするのが難しいと言われる理由です。
ローン審査が厳しい?住宅の担保価値が低くなりやすい
住宅を購入する際には金融機関の住宅ローンを利用する方がほとんどですが、長屋式住宅ではローン審査が厳しくなることが予想されます。
長屋式住宅とは、壁を共通した個別の住宅が2つ以上連なっていますが、その構造がローンの審査基準を満たせないかもしれません。
古い長屋の場合、耐震・建築基準が現代の基準に満ちていなかったり、再建築やリフォームが困難だったりする点などにより、担保価値が低くなりやすいです。
住宅ローンでは、万が一返済が滞った場合には担保にした住宅を金融機関が売却して返済に充てるため、住宅そのものに融資金額以上の価値があると認められる必要があります。
簡単に買い手を見つけることができそうにない物件では融資できないと金融機関に言われてしまえば、購入希望者がローンを組めずに売却することができなくなってしまいます。
このような金融機関のローン審査の厳しさも、長屋式住宅の売却が難しいと言われる理由の1つに挙げられます。
長屋式住宅を売却するおすすめの3つの方法
再建築や建物の切り離し、果ては住宅ローンの審査を通過するのが困難なことから売れないのではと思われている長屋式住宅でも、安心して売却するおすすめの方法があります。
隣家を買い取って建物全体の所有者となる
1棟の建物に複数の住戸があることが売買や再建築を困難にさせていることは明白なため、隣家を買い取って建物全部を自己所有とすることで、売買の妨げとなる問題を解消できます。
同じ長屋に住んでいる住人が再建築やリフォームの難しさに悩みを抱いているならば、買い取ってまとめて売却したい旨を伝えれば、スムーズに話を進められる可能性があるでしょう。
ただし、この方法では住戸の数が多いほど買い取る資金が必要となるので、豊富な資金力がないとなかなか叶えられない方法です。
または、自分の所有する分を隣家に買い取ってもらえるならば、新たに買い手を探すよりも簡単に売却することができます。
需要のあるテーマで室内をリノベーションする
大規模な工事が難しくても、室内をリノベーションする程度の工事ならば再建築よりも建築許可がおりやすく、現実的に実行可能です。
古さを活かしながらも設備は新しいものを揃えたり、古く見えても使い勝手の良い生活動線を考えたりして、需要のある層に向けた販売戦略を練ります。
そうやって古さを活かしたリノベーションすることで物件の価値を高め、需要のある層に販売し、スムーズに売買を成立させる方法は有効です。
リノベーションをおこなう場合、費用がいくらかかるか、売却価格はいくらになりそうか事前に損益を考慮しておかないと、赤字になってしまう可能性があります。
どこまで工事をおこなうか、どのような工事をおこなうか、細部までしっかりと考えてから実行すると良いでしょう。
もっとも安心して売却できる方法は不動産会社へ買取依頼
再建築やリフォームができない、立地が訳ありの物件でも安心して売却する方法は、不動産会社への買取依頼です。
不動産会社では一般に購入希望者を募って、売主と買主の仲介をする売買も取り扱っていますが、物件の買取もおこなっています。
仲介による売却とは違い、買主は一般の方ではなく不動産会社となるため、再建築ができない・立地に難ありの物件でも売却が可能です。
買取価格は、通常の売却をした際の6~7割ほどとなるのが一般的ですが、査定額に納得できれば売却にかかる期間は短く済みます。
また、売主の都合を考慮して物件の引き渡し時期を決められるので、無理のない日程で引っ越し作業ができるのは、不動産会社に買い取ってもらうからこそと言えるでしょう。
まとめ
不動産の売買では、建物の状態や立地などのさまざまな条件を加味して検討されるため、一概にこれだから売買が簡単、または困難とは言い切れません。
まずは豊富な実績を誇る不動産会社に相談し、どのような方法があるのか、どのような売買を希望しているかを伝えてみましょう。
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