賃貸管理

賃貸経営において物件の老朽化がもたらすリスクとは?建て替えの目安も解説

賃貸経営において物件の老朽化がもたらすリスクとは?建て替えの目安も解説

賃貸経営をおこなう大家さんのなかには、建物が老朽化しており今後の対策に悩んでいるという方もいらっしゃるでしょう。
老朽化した建物をそのままにしていると、賃貸経営が困難になるようなリスクが生じます。
この記事では、賃貸経営において物件の老朽化がもたらすリスクと、その対策として建て替えやリフォームをする場合のメリットなどを解説します。

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賃貸経営において物件の老朽化がもたらすリスクとは?

賃貸経営において物件の老朽化がもたらすリスクとは?

建物の老朽化は避けてはとおれないものです。
老朽化した物件をそのままにしていると、どのようなリスクが発生するのでしょうか。
ここでは、賃貸経営において物件の老朽化がもたらすリスクを3つご紹介します。

空室率上昇のリスク

老朽化した建物は外観の印象が悪く、また間取りも現代のニーズに合っていないケースが多いです。
近くに新築物件があると、入居者はそこに流れてしまう可能性があります。
老朽化とともに新築時のような魅力が失われるため、なにも対策せずにいると空室リスクは大きくなる一方です。

家賃収入が低下するリスク

建物の老朽化により空室が多くなると、当然ながら家賃収入も減ってしまいます。
入居者を増やすためには、賃料の値下げなどが必要になってきます。
しかし、賃料を下げるとアパートローンの返済が追いつかず、最悪の場合差し押さえになることもあります。
家賃収入の低下は賃貸経営の破綻にも繋がる恐れがあることを理解しておきましょう。

倒壊のリスク

建物の老朽化が進むと耐久性が低下し、地震や台風などの災害時に倒壊する恐れがあります。
老朽化したアパートが倒壊して入居者の身に危険が及んだ場合、倒壊の原因が自然災害であっても、大家さんが責任を負うことになります。
なぜなら大家さんには賃貸物件を守るための修繕義務があるためです。
建物の老朽化は適切な修繕をおこない、安全な状態で入居者に提供しなければなりません。
大家さんが修繕義務を怠った結果、建物の老朽化が進み倒壊した場合には、損害賠償責任に問われる可能性があります。

老朽化対策として建て替えを検討する場合の費用や注意点

老朽化対策として建て替えを検討する場合の費用や注意点

老朽化対策のひとつに、物件の「建て替え」があります。
ここでは、建て替えを検討する時期の目安や注意点、必要費用などを解説します。

建て替えの目安は築30年

所有物件が築30年を越えている場合には、建て替えの検討時期といえます。
なぜ築30年が目安なのかというと、そこには法定耐用年数が関係しています。
法定耐用年数とは、減価償却を利用できる年数のことです。
アパートローンの返済期間は、この耐用年数が基準になっています。
たとえば木造アパートの耐用年数は22年、鉄骨の厚みが3mm超4mm以下の鉄骨造アパートは27年です。
30年を経過する頃にはアパートローンを完済していることがほとんどでしょう。
また30年前の物件だと、間取りや設備が現代のニーズと合っていないことも少なくありません。
築30年を目安に建て替えをおこない、現代のニーズに合った造りにすれば、入居希望者の増加が見込めます。

建て替えにかかる費用

建て替えにかかる費用は、解体費用・建築費用・立ち退き料の3つです。
それぞれがどのような費用なのか順番に解説します。

解体費用
建て替えが決まったら、まずは既存の建物を解体しなければなりません。
解体費用の目安は木造で2.5~5.5万円/坪、鉄骨造で3~6.5万円/坪、鉄筋コンクリート造で3.5~7万円/坪です。
これはあくまでも目安であり、解体費用は建物の規模や周辺環境でも異なります。
工事費用の詳細は見積もり時に細かくチェックするようにしましょう。

建築費用
アパートの建築費用も、建物の構造や規模、立地条件などで異なります。
建築費用のおおまかな目安は、木造で50~70万円/坪、鉄骨造で60~90万円/坪、鉄筋コンクリート造で80~120万円/坪です。
建物の構造によって大きく差があるため、再建築時には構造をどのようにするか慎重に検討しなければなりません。
また建築時には工事費用以外に、ライフラインの引き込み費用や諸費用もかかると覚えておきましょう。

立ち退き料
建物を建て替える際には、今いる入居者に退去してもらわなければなりません。
退去となると新居探しや引っ越し作業などで入居者に大きな負担がかかります。
そこで大家さんが立ち退き料を支払い、退去にかかる入居者の労力を軽減させるのです。
立ち退き料の目安は家賃6か月分ほどですが、費用に明確な決まりはないため、大家さんと入居者の交渉によって金額が決まります。

建て替え時の注意点

前述したように、建て替え時には入居者に退去してもらう必要があります。
とはいえ「1か月後に出ていってください」などと急に退去を要請することはできません。
退去の申し入れは、正当な事由をもって期間満了の6か月前までにおこないましょう。
なかには立ち退きに納得しない入居者もいるでしょう。
その場合には、立ち退き交渉が必要です。
交渉は大家さんか弁護士しかおこなえないため、立ち退きが決定したら早めに準備に取り掛かりましょう。

賃貸経営の老朽化対策リフォームと建て替えの違いを比較

賃貸経営の老朽化対策リフォームと建て替えの違いを比較

建て替えはおこなわずに、リフォームをして貸し出すという老朽化対策もあります。
リフォームの場合、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
建て替えと比較をしながら、リフォームのメリット・デメリットをご紹介します。

メリット1.建て替えと比較してコストがかからない

リフォームの場合、建て替えと比較して低コストで済むというメリットがあります。
なぜならリフォームでは老朽化した部分だけの修繕が可能なためです。
建て替えの場合、解体費用と建築費用あわせて数千万円ほどは必要です。
リフォームであれば、修繕箇所によっては100万円程度でできるものもあります。
複数箇所をリフォームする場合でも、建て替えより安くで実施できるでしょう。

メリット2.建て替えよりも早く工事が終わる

建て替えに比べて工期が短い点もリフォームのメリットです。
建て替え時には建物の解体から再建築まで長い期間を要します。
立ち退き交渉でつまづいた場合、再建築までさらに時間がかかってしまうでしょう。
工期が長引くほど家賃収入が得られない期間も長くなります。
賃貸経営を止めずに老朽化対策が可能な点は、リフォームならではのメリットです。

デメリット1.修繕が不十分に終わってしまう可能性がある

躯体部分の老朽化がひどい場合では、リフォームでは対応できず数年後に建て替えが必要になることがあります。
建て替えの場合は1から造り直すので、このような心配はありません。
リフォームをおこなう際は、どれほどの修繕効果があるのか事前に確認することが重要です。

デメリット2.空室問題の解決にならないことも

建て替えでは、現代のニーズに合わせた間取りやデザイン、設備の導入が可能です。
リフォームの場合、建物の状態によっては間取り変更ができない場合もあります。
お金をかけてリフォームしても、空室問題が解消できなければ賃貸経営の続行は困難です。
空室問題の解決には、建て替えのほうがより大きな効果を得られやすいでしょう。
リフォームを検討する場合、リフォームによって空室対策になるのかどうか、周辺の環境などを含めて考える必要があります。

まとめ

賃貸経営において物件の老朽化がもたらすリスクと対策方法をご紹介しました。
老朽化した建物をそのままにしていると、賃貸経営に関するさまざまなリスクが発生します。
入居者の安全を守るためにも、老朽化対策は必ずおこないましょう。

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