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2020年4月の民法改正により「設備の一部滅失による賃料減額」の内容が一部変更となったのをご存じですか?
賃貸経営に関わる重要なことなので、大家さんはもちろん、これから賃貸経営を始める方も理解しておく必要があります。
この記事では賃貸物件の設備故障について、大家さんが気を付けるべきポイントを解説します。
これから賃貸経営を始める方や、現在物件を貸し出している方はぜひ参考になさってください。
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民法改正でどう変わった?賃貸物件の設備故障は迅速な対応が重要
冒頭でも述べたように、2020年4月の民法改正により「設備の一部滅失による賃料減額」の内容が一部変更となりました。
民法改正によってどう変わったのかを解説する前に、まずは「設備の一部滅失による賃料減額」とは何かを理解しておきましょう。
「設備の一部滅失による賃料減額」とは?
賃貸物件にはエアコンや給湯器などさまざまな設備が設置されています。
これからの設備は大家さんの所有物であり、入居者は勝手に修理や変更ができません。
そのため設備が故障したら、大家さんが修理会社を手配するなどして対応する必要があります。
ここですぐに修理の予約ができれば良いのですが、修理会社と都合が合わず修理までに日数を要することもあるでしょう。
もしもトイレが故障して業者がくるまでに3日かかるとなると、その間入居者はトイレが使えず不便な思いをします。
このように設備が故障して入居者に不便が生じた場合、大家さんは故障の程度に応じて賃料を減額しなければなりません。
こうした設備故障の対応について記載されているのが、民法611条「設備の一部滅失による賃料減額」です。
この内容が2020年4月の民法改正によって一部内容が変更となりました。
どう変わったかについては以下でご紹介します。
改定後どう変わった?
旧法では、賃貸物件の設備が故障したら「賃料の減額を請求することができる」となっていました。
改正後の新法では「当然に減額される」となっています。
これにより、大家さんの責任はより重くなったといえるでしょう。
たとえばエアコンが故障して入居者から連絡があったものの、修理の予約が1週間後にしか取れなかったとしましょう。
入居者は1週間もの間エアコンが使えず不便な思いをすることになります。
この場合、旧法では入居者から「エアコンが使えなかった期間の賃料を減額して」と言われたときのみ対応すれば問題ありませんでした。
それが新法では、入居者からお願いや交渉がなくても、設備が直るまでの間賃料を安くしなければいけなくなったのです。
修理依頼には速やかに対応することが大切
入居者から修理依頼を受けたにも関わらず対応が遅くなってしまい、入居者が自分で修理をしたとします。
この場合、対応が遅れた大家さんの責任となり、入居者に修理代金を支払う必要があります。
たとえそれが相場よりも高い料金だったとしてもです。
こうしたことを防ぐためにも、大家さんは入居者から設備の修理依頼を受けたら、速やかに対応することが大切です。
賃貸物件の設備故障は誰の責任?大家さんがとるべき対応とは
賃貸物件の設備が故障したら、基本的には大家さんが修繕費を負担します。
ただし、すべてのケースで当てはまるわけではありません。
場合によっては入居者負担となることもあります。
ここでは、設備故障における責任の所在について解説します。
また入居者から設備故障の連絡を受けた際に、大家さんがとるべき対応もご紹介しますのでご参考になさってください。
入居者の故意・過失による故障は入居者負担
生活に欠かせない設備(エアコンや給湯器など)の修理費用は大家さん負担となることが一般的です。
なぜなら入居者は、これらの設備が整っていることを前提に家賃を支払っているためです。
ただし、入居者の故意・過失によって故障した場合は入居者負担となります。
たとえば、子どもがボールをあててエアコンが壊れた、異音がするのに放っておいた結果さらに症状が悪化したなどです。
故意・過失の判断はケースによって異なるので、故障の連絡がきたら状況を詳しく確認しましょう。
設備故障の連絡を受けた際に大家さんがすべき対応
実際に入居者から設備故障の連絡を受けた場合、どう対応したら良いのでしょうか?
ここでは大家さんがとるべき3つの対応方法をご紹介します。
大家さん自身が対応する
設備故障やトラブルのなかには、大家さん自身が現場に向かい対応できるケースもあります。
たとえば入居者が物件の鍵を紛失して家のなかに入れないなどです。
このケースでは、大家さんが管理している合鍵を持っていき、必要に応じてあとから鍵(シリンダー)の交換をすると良いでしょう。
ちなみに鍵紛失によるシリンダーの交換は、基本的に入居者負担となります。
大家さんが電話で対応する
「ガスコンロが付かない」などの相談では、現場に向かわなくても電話対応で解決するケースもあります。
コンロの故障ではなく、電池切れや元栓が閉まっていたことが原因で火が付かないことも少なくありません。
入居者にガスの元栓やコンロを確認してもらえば解決する場合もあるため、まずは状況を詳しく聞いてみると良いでしょう。
専門業者を手配する
トイレやお風呂の水漏れ、エレベーターの故障などは素人では直せません。
自分でどうにかしようとするとさらに悪化させてしまう可能性があるので、電話を受けた時点で専門業者に連絡しましょう。
とくに水漏れは時間の経過とともに被害が大きくなりやすいです。
専門業者が必要だと感じたらすぐに手配して、入居者には応急処置の方法を伝えておけば被害を最小限に抑えられます。
賃貸物件の設備故障が発生した際に管理会社はなにをしてくれる?
民法改正によって「設備の一部滅失による賃料減額」がよりシビアになった今、賃料の減額をさけるためにも迅速に対応する必要があります。
とはいえ、大家さんのなかには賃貸経営とは別に仕事をしているという方も多いでしょう。
本業が忙しいと入居者から設備故障の連絡があっても電話に出られなかったり、出向いて対応したりできないこともあるかもしれません。
そこで検討してほしいのが管理会社を活用することです。
ここでは管理会社の役割と、設備にトラブルがあったときに管理会社がどのように対応してくれるのかを解説します。
管理会社とは?
管理会社とは、大家さんに代わって賃貸物件の管理をする会社です。
物件の掃除やメンテナンスにくわえて、家賃の徴収やクレーム対応などもおこないます。
管理会社に業務を委託すれば大家さんの負担が減るため、精神的にも余裕ができるでしょう。
また、すべての業務を委託せずに一部だけを任せることも可能です。
「負担を軽くしたいけど管理費用も抑えたい」と考える方は、一部委託を検討しても良いでしょう。
設備の故障・トラブル発生時に管理会社がしてくれること
所有物件に設備故障やトラブルが発生したら、管理会社は入居者とのやり取りや修理会社の手配など、ひととおりのことをおこなってくれます。
管理会社が窓口になってくれるため、基本的に入居者から大家さんに連絡がいくことはありません。
また管理会社のなかにはコールセンターと連携しているところもあります。
深夜や早朝でもコールセンターが対応してくれるので、大家さんだけでなく入居者も安心でしょう。
まとめ
民法改正によって「設備の一部滅失による賃料減額」の内容が一部変更となり、大家さんにとってより厳しい条件となりました。
賃料の減額にも繋がるため、入居者から設備故障の連絡を受けたら迅速に対応することが大切です。
本業がありすぐに対応できない、自分で管理するのは不安という方は管理会社に業務を委託するほうが良いでしょう。
これから賃貸経営を始めようとお考えの方は、弊社までお気軽にご相談ください。
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