1980年代後半にペットブームが起きて久しく、昨今ではペットと暮らすことも一般的になり、ひとつの生活スタイルとして定着しつつあります。
以前は一戸建て物件で飼育されることがほとんどだったペットですが、最近ではペット可のマンション物件を目にする機会も増えました。
そのためファミリーだけでなく一人暮らしの方まで、多くの方がペットとの暮らしを楽しむようになっています。
不動産投資をお考えの方にとっては、収益物件をペット可にすることでどんな影響があるのか、気になるところではないでしょうか?
ペット可の物件にすることは、他の賃貸物件と差別化でき、入居者の確保に繋がる可能性があります。
この記事では不動産投資におけるペット可物件の需要とメリット、ペット可にする注意点をご紹介いたします。
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不動産投資におけるペット可物件の需要とは?
ペットとの暮らしが定着しているとはいえ、具体的にはどの程度のニーズがあるのでしょうか?
まずはペット可物件の需要を把握しておきましょう。
一般社団法人ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査」によると、2021年時点では日本の総世帯数のうち9.78%の世帯が犬を、8.94%が猫をすでに飼育しています。
また今後の飼育意向については、18.4%の人が犬を、15%の人が猫を飼育したいと考えていることがわかります。
なかでも20代の飼育意向が他の世代よりも高く、犬が21.6%、猫が16.6%と、多くの20代がペットの飼育を考えているようです。
なぜ多くの人がペットを、とりわけ20代の方がペットを飼いたいと考えているのでしょうか?
大都市部では若者の集中や少子高齢化によって、単身世帯が増加しています。
そのためひとりで過ごす時間をより充実させるために、ペットを飼いたいというニーズが高まっていると考えられます。
さらに、新型コロナウイルスの影響で自宅にいる時間が長くなったことで、家での時間を充実させたいと考える方が増えたことも関係しているでしょう。
実際に同調査では新型コロナウイルスの流行後にペットの飼育を始めた方にアンケートをとった結果、犬を飼った人の36.5%が「心穏やかに過ごせる日が増えた」、猫を飼った人の42%が「毎日の生活が楽しくなった」と回答しています。
このようにペットを飼いたいというニーズはかなり高い状況にあると考えられます。
ペット可の賃貸物件が不足している?
一方で同調査では、ペットが飼育できる賃貸物件が不足していることも示唆されています。
「飼育する意向があるのに、現状飼育ができていない阻害要因は何か?」という質問に対して、犬を飼いたい人の19.1%、猫を飼いたい人の27.2%が「集合住宅に住んでいて、犬・猫の飼育を禁止されているから」と回答しています。
つまり、ペット可の賃貸物件は市場の需要に対してまだまだ不足しているということです。
そのため収益物件をペット可にすることで、他の物件との差別化を図れると考えられます。
不動産投資用物件をペット可にするメリットとは?
このようにペット可の賃貸物件には相応の需要があり、賃貸情報サイトではペット可物件をまとめた特集が組まれることもあります。
なかにはペットとの暮らしを前提に設計された「ペット共生型」のマンションなど、よりペットとの暮らしに重点を置いた物件も増えてきています。
収益物件をこのようなペット可物件にする場合、オーナー視点ではどのようなメリットがあるのでしょうか。
メリット①:空室対策になる
先述したとおり、現状でもペット可の賃貸物件はニーズに対して不足しています。
そのためペット可物件にすることで、ペットを飼いたいと考えている方に向けては十分に他の賃貸物件との差別化ができます。
それだけでなく、すでにペットを飼育している方が引っ越しを検討する際は、必然的にペット可の物件を探すことになります。
ペット可にすることでこれからペットを飼いたい方だけでなく、すでにペットと暮らしている方もターゲットにできるのです。
競合となるペット可の物件数も少ないので、空室対策にもなります。
メリット②:賃料を高く設定できる
現状、ペット可の物件は希少なため、なかなかペット可の物件が見つけられない方にとっては、多少家賃が高くても選択肢に入ります。
そのため賃料を高く設定しても入居者が集まりやすいです。
また立地が悪いエリアでもペット可であれば家賃を高くしつつ、入居者を集められる可能性があります。
メリット③:長期入居に繋げられる
ペット可の物件は少ないため、一度入居すると転勤などの理由がない限り、簡単に転居しない方が大半です。
そのため一般的な賃貸物件よりも入居期間が長くなる傾向にあるといえるでしょう。
長期入居してもらえれば、継続的に安定した収益を得られるため、不動産オーナーにとってはキャッシュフロー面でも重要なメリットです。
不動産投資用物件をペット可にする注意点とは?
一見すると収益物件をペット可にすることはかなり魅力的に見えますが、もちろん注意すべきデメリットも存在します。
注意点①:ターゲットが限定される
ペット可の物件はペットを飼いたい方や、すでにペットを飼育している方にとっては魅力的な選択肢です。
しかし反対に、ペットを飼育していない方はターゲットから外れてしまいます。
ペットを飼わない方にとっては、メリットがなく家賃が高い物件を選ぶ理由はありません。
またペットを飼わない方のなかには、ペットの鳴き声やにおいが気になるため、ペット可の物件を敬遠する方もいらっしゃいます。
そのためペット可の物件では、ペットを飼わない方はターゲットから外れてしまうと考えて良いでしょう。
注意点②:近隣トラブルが発生しやすい
ペット可物件ではペットの鳴き声やにおいによってトラブルが起きる可能性があります。
飼い主によるペットへの躾がされておらず吠え続けていると、騒音トラブルになってしまいます。
また、ペットの世話や排泄物の処理が行き届いておらず、悪臭トラブルに発展する可能性もあります。
これらのトラブルはペットを飼育している入居者どうしでは発生しづらいですが、ペットを飼育していない入居者との間ではトラブルになる可能性が高まります。
とくに途中からペット可に変更した物件や、他の物件がペット可にしていない区分所有のマンションなどはトラブルが起こりやすいでしょう。
ペット可にする場合は、なるべく建物全体でペット可にすることや、最初からペット可の物件を選ぶことを意識しましょう。
注意点③:原状回復費用が高くなりやすい
ペットを飼育している物件では、壁紙などの内装や床などの建材が傷つく可能性があります。
猫を飼っている場合は爪研ぎによって壁紙や床が傷んだり、犬を飼っている場合は歯がゆいときに床を噛んで表面が剥がれることがあります。
このようにペット可の物件は人が住む物件よりも傷つきやすいため、原状回復費用も高くなりがちです。
原状回復費用が高くなることを見越して、家賃を高く設定したり、敷金を多めに設定するなど、あらかじめ対策しておきましょう。
もしくは入居前に原状回復条件を細かく設定しておくことも有効です。
さらに「小型犬のみ可」など、飼育可能なペットの規定も設けることで、あらかじめリスクを低減することもできます。
注意点④:ペット可にするための費用が高くなる可能性がある
傷つきにくい床や、高い位置の電源コンセント、ペット用の出入り口など。
ペット可の物件にする際は、ペットが過ごしやすい工夫を施した物件にすることもできます。
しかしその場合、通常の物件よりも施工費用が高くなってしまう可能性があります。
ペットに特化した設備を追加する場合は、費用対効果が見合うかどうか、事前にシミュレーションしておくと良いでしょう。
まとめ
少子高齢化や単身世帯の増加、新型コロナウイルスの流行により、ペットを飼育する方や飼育したいと考える方が増えています。
そのためペット可物件の需要も増えていますが、ペット可物件の供給は不足気味です。
そこで投資用物件をペット可にすることで、ペットと暮らしたい方に向けて空室対策ができます。
また、競合物件も少ないため、高めの家賃設定にすることや、長期入居に繋げることも可能です。
しかし、ペットを飼育する方以外はターゲットにはならないことや、トラブルの可能性があること、費用が高くなりやすいというデメリットもあると、把握しておきましょう。
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