賃貸経営では、入居者との更新交渉に不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、賃貸借契約の更新交渉について、入居者からの値下げ要求があったときの対応方法をご紹介します。
値上げ交渉をしたいときや更新交渉の際に多いトラブルへの対処法もお伝えしますので、賃貸管理に興味をお持ちの方はぜひお読みください。
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入居者から賃貸借契約の更新交渉を受けた場合の対応方法
賃貸経営では、更新交渉の場で、入居者から値下げ要求を受けることもあります。
多くは入居期間が長い方からですが、他の入居者への影響も心配です。
空室率の低下を避けつつ、円満に解決できる対処法をご紹介します。
入居者から更新交渉を受けたときはどうする?
拒否することもせず、受け入れることもしない対応がベストですが、何もしないのでは解決できないため、回答期限を明確に示します。
入居者は、交渉の余地がないと判断すると退去手続きを始め、いったん拒否した更新交渉を、退去すると知って撤回すると貸主には不利な交渉になるからです。
物件探しの時間を与えないためにも、3~5営業日くらいを期限に提示して、交渉に応じる姿勢を示しましょう。
入居者からの更新交渉に応じる前にやるべきこととは?
値下げ交渉の引き合いになりそうな周辺の家賃相場を調査しておくことです。
近隣の家賃相場を把握することはもちろんですが、立地や築年数が似ている物件は入念に調査します。
目的は、所有する物件の優位性を示す証拠を収集することです。
共用部分の劣化状況や設備の更新頻度、定期的なメンテナンス作業の履歴など、物件の資産価値の高さを立証して、値下げ要求を拒否する理由を明示します。
入居者が、要求の拒否と受け取らず、価値ある物件だからこの家賃は妥当であると納得できる交渉にすることが大切です。
返答を保留しておきながら、明確な理由や根拠もないまま要求を拒否すれば、入居者は納得できません。
円満に解決することで、今後の共用部分の工事に対する理解も得やすくなるなど、賃貸物件運営に役立つ交渉にします。
更新交渉における家賃以外での対処法はある?
値下げ要求を拒否するだけでなく、代替案の提示をおこなうと、入居者は交渉した成果だと感じます。
共用部分の劣化を改善すると、入居者全員が恩恵を受けることにつながり、値下げ要求の連鎖を断つためにも有効です。
エレベーターや外壁などの改修工事などは、定期的な大規模修繕工事の一環としておこないます。
駐輪場や駐車場など外部から見える場所を補修することで、資産価値の向上とともに入居者の増加につなげる対処法も検討しましょう。
賃貸借契約の更新交渉は値上げを打診するタイミングになる?
賃貸経営では、家賃の値上げを告知しなければならないこともありますが、退去への不安もあって言い出しにくい事案です。
そこで、入居者の同意を得やすい伝え方をご紹介しますので、値上げを告知する際にご活用ください。
入居者の家賃を値上げできる条件とは?
周辺の家賃相場と比較して、安くなってしまったときは、値上げができます。
入居者だけでなく、管理者も、入居したときに締結した家賃は改定できないと思っていますが、正当な理由があれば条件変更は可能です。
物価の上昇などの他に、周辺相場と著しく差額が生じる場合は、家賃値上げの正当な理由になります。
安い家賃設定になっている物件は、相続で経営を引き継いだ場合に多く、経営に不慣れなことが原因です。
この他、駅や商業施設の開業にともなう利便性の向上も、周辺相場に影響をおよぼします。
立地が良くなると地価が上昇し、連動して固定資産税の納税額が増えるなども、家賃相場を押し上げる要因です。
値上げの告知はどのタイミングにおこなう?
家賃の条件変更の告知は、区切りが良い年末や年度末と考えがちですが、退去するタイミングになることも多いことから避けます。
同様に、賃貸借契約の更新交渉でおこなうと、退去のリスクを高めるだけです。
そこで、季節を問わず、値上げを決めた段階で一斉に入居者に告知します。
告知は必ず書面でおこないますが、できれば内容証明郵便を活用した配達と相手が受け取った証明が大切です。
告知をおこなうときは、条件変更までに猶予期間を設けるなど、入居者に不利益が生じないように心掛けます。
入居者から値上げの同意を得るには?
賃貸経営において、一方的な条件変更は、入居者からの反発を受ける要因です。
値上げの根拠を明確に提示して、やむを得ない変更であることを示す他、周辺の家賃相場と同程度の上げ幅にします。
周辺の家賃相場は、間取りや築年数が似ている物件に条件設定してインターネットで検索する他、不動産会社に問い合わせるなどが、透明性の確保に有効な調査方法です。
さらに、入居者にメリットがあれば、値上げへの同意を得やすくなります。
次回のみ更新料を無料にする、宅配ボックスの導入や駐輪場に屋根を取り付けるなど、具体的な提案が有効です。
賃貸借契約の更新交渉でよくあるトラブルとその対処法
更新交渉中に賃貸借契約期間を過ぎてしまうなどのトラブルは、意外に多く発生します。
しかし、対処法を知っていれば、慌てることはありません。
値下げ要求への対応はもちろん、値上げにも使える方法をご紹介します。
賃貸借契約の条件変更の交渉がまとまらなかったときはどうなる?
入居者から退去を希望するときは、1か月前に申し出る決まりがありますが、条件変更の交渉中でタイミングを逃してしまったときは、自動更新になります。
この更新方法を法定更新と言い、借地借家法に基づくものです。
注意したいのは、今までと同じ条件での更新であり、条件変更はありません。
ただし、契約期間に定めがないことから、正当な理由があれば、貸主から契約更新をおこなわないことも可能です。
退去までの猶予期間が短いなど、入居者に不利益が生じる場合は無効となるため、焦らずに対応し、通常の契約締結を目指します。
法定更新をおこなった場合の契約手続きとは?
入居者と話し合い、契約期間を定めた合意更新をおこないます。
合意更新では、契約期間は1年以上に設定しなければならない条件があり、1年未満の場合は、期間の定めがないと同じ扱いになる点に注意しましょう。
この合意更新では、条件変更をすることも可能です。
入居者との交渉結果を反映した契約にしますが、他の入居者との契約も踏まえ、特例にならないようにします。
とはいえ、契約内容が入居者に不利益が生じる場合は無効となることも忘れないようにしましょう。
賃貸借契約の更新交渉でよくあるトラブルとは?
法定更新になった場合、契約更新料を受け取れないことが多くあり、合意更新しても請求はできません。
更新料の請求権の消滅は、貸主側に対応できる手立てがない点を考慮し、期間内の合意を目指しましょう。
また、更新交渉に端を発した家賃の未払いが長期化したときは、合意更新をおこなわない正当な理由に該当します。
交渉期間を含む2か月程度は許容範囲ですが、その後も不払いが続くときは、契約解除が可能です。
正当な理由であることを示すため、交渉の記録は必ず残すなどもトラブルへの対処法に該当します。
管理業務として共有できるよう、システム化しておきましょう。
まとめ
賃貸借契約の更新交渉では、入居者から値下げ要求を受けることもありますが、周辺の家賃相場などで、家賃が妥当であることを証明します。
値上げを告知するときは、猶予期間を設けるなど、入居者の不利益にならないよう配慮が必要です。
更新交渉の記録を作成するシステムを構築し、入居者とのトラブルを回避しましょう。
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