賃貸経営に役立つ家賃債務保証サービスについて、知識を深めたい方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、賃貸物件に対する家賃債務保証とは何か、メリットとデメリットも含めてご紹介します。
混同しやすいサブリースとの違いもお伝えしますので、家賃債務保証を賃貸経営に利用したい方はぜひお読みください。
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賃貸物件の家賃債務保証とは?知っておきたい役割と仕組み
家賃債務保証サービスとは、賃貸住宅の入居者が家賃を滞納した際に、保証会社が立て替え払いする仕組みです。
このサービスを利用すると、賃貸借契約を締結するときの連帯保証人が不要になります。
家賃債務保証サービスの仕組みと流れをご紹介
賃貸物件の経営者は、債務保証を委託する契約を保証会社と締結します。
家賃の集金などは管理会社がおこない、家賃の滞納が発生したときだけ保証会社が対応する役割分担です。
保証会社は、滞納した家賃の立て替え払いと滞納分の集金業務を担います。
家賃を滞納した入居者は、保証会社からの請求に対して支払い、経営者や管理会社への支払いはありません。
経営者は、保証会社に保証料を支払って契約し、その範囲内で保証を受ける仕組みです。
家賃債務保証サービスが必要になる要因は?
賃貸借契約を締結する際、連帯保証人による保証が一般的でした。
しかし、対人関係の希薄化により、家族や親族間の保証人を依頼するのを嫌うだけでなく、保証人になるのをためらう傾向にあります。
そのうえ、高齢者やひとり親家庭など、連帯保証人を頼める対象がない、依頼したくない方が多くなったのも要因です。
賃貸物件に入居を希望する方が、連帯保証人が条件になっているため入居できない問題を解決するため、保証会社を介した契約が登場しました。
家賃債務保証事業者協議会のおこなった「令和2年度家賃債務保証業者の登録制度等実態調査」では、賃貸住宅の約8割が、サービスを利用しています。
保証会社とは?保証料はいくら?
保証会社とは、国土交通省の家賃債務保証業者登録制度に登録した事業者であり、5年ごとに登録を更新している会社です。
ただし、任意であるため、すべての保証会社が登録事業者ではありません。
契約により保証する範囲は、家賃の滞納への対応以外に、原状回復費用や残置物撤去費用、トラブル発生時の訴訟費用などです。
保証料は、契約時は家賃の0.5か月分、翌年以降は1万円程度と家賃に関係なく一定額になっており、賃貸借契約終了までをカバーします。
多くの会社は家賃の保証業務に特化していますが、賃貸物件の管理業務や不動産業を兼務する他、貸金業者も参入している事業です。
賃貸経営において家賃債務保証を利用するメリットとは?
家賃債務保証サービスを利用すると、借主には、連帯保証人が不要になるメリットがあります。
貸主には、家賃の回収漏れがなくなる他、今まで入居を断念していた層の取り込みによる入居率の向上がメリットです。
また、保証サービスには2種類あるため、違いを把握しておきましょう。
家賃債務保証を利用するデメリットは?
借主と直接やり取りすることがなくなるため、収入が減少して転居を検討しているなど、借主の近況が把握できない点です。
同じ物件内に管理者として住んでいる場合は、借主を知るチャンスも多くありますが、離れた場所で暮らしていると、お互いの状況は把握できません。
入居者の募集活動への取り組みが遅れる可能性もあり、家賃を確保できるメリットが、経営の不安材料になります。
家賃債務保証は一般保証型と支払委託型
家賃の滞納が発生したときだけ対応する一般保証型は、貸主からの請求を受けて対応します。
通常の家賃は貸主や管理会社が受け取り、滞納が発生した場合は代位弁済での対応です。
代位弁済とは、滞納した債務者に代わって第三者が支払う返済方法であり、弁済金は保証会社が直接債務者に請求します。
貸主が請求しなければ、滞納した家賃の回収ができない仕組みです。
一方の支払委託型は、通常の家賃も立て替え払いをおこなう収納代行契約になります。
毎月の家賃の集金業務は保証会社がおこなうため、貸主は立替金を受け取る契約です。
貸主は、毎月きちんと家賃を受け取れ、滞納が発生しても請求などは必要ありません。
とはいえ、滞納の発生を事後報告で知るなど、借主の状況把握が遅れるリスクがあります。
どちらの契約も、滞納した貸主から家賃を回収するのは保証会社です。
不動産関係以外の貸金業や信販系の会社が、債務保証契約に参入する背景になっています。
滞納が継続したときはどうなる?
一般保証型も支払委託型も、貸主は安定して家賃を確保できても、滞納が継続している場合は対処が必要です。
通常、滞納が3~6か月続くと貸主側から賃貸借契約の解除を申し入れます。
立替金を受け取っているため損失は発生していませんが、契約の不履行を理由にした解除は可能です。
いきなり申し入れをおこなわず、保証会社に相談するなど、円満な解決を目指しましょう。
家賃債務保証と賃貸物件のサブリースとの違いを紹介
賃貸借契約のサブリースとは、賃貸物件を一括してリース契約をおこない、運営もすべて委託する方法です。
家賃債務保証がセットになっている点は似ていますが、仕組みなどに違いがあります。
サブリース契約は賃料保証型とパススルー型の2種類
賃料保証型とは、物件を一括借り上げし、決まった額で契約するスタイルです。
運営業務も委託する契約になっており、家賃債務保証も含めて1社に依頼したい方に向いています。
入居率に関係なく毎月同じ収入を確保できますが、満室になっても収入が増えることはありません。
パススルー型とは、借り上げた物件を利用し、サブリース会社が個別に入居者と賃貸借契約を締結する経営スタイルです。
家賃収入は空室率と連動して入居者が減少すると家賃収入も減少し、満室になると収入も比例して増えます。
ほとんどは賃料保証型であり、パススルー型契約を取り扱う会社はごく一部です。
家賃債務保証サービスとサブリース契約の違いは?
家賃債務保証サービスは、経営主体は貸主であるため、家賃など運営に関する決定権があります。
家賃も入居率による影響がおよびますが、全額受け取れる点がメリットです。
一方のサブリースでは、運営業務も一括して委託する契約になっており、貸主が経営に関与できない仕組みになっています。
家賃収入の8~9割程度を、見直しの期間まで同じ金額を受け取る契約です。
入居率が低下したときに収入が減少するリスクは回避できますが、実績に応じた契約更改になります。
経営実績は事後報告で知るだけになるため、十分に内実を把握できない状況で、受取家賃が変動する可能性の高い契約です。
また、賃貸物件のサブリース契約は、10年以上が多く、30年以上も珍しくありません。
注意点は、30年以上の契約であっても、家賃への保証契約は、10年を経過した時点で5年ごとの見直しに変更です。
30年間同じ収入を確保できないため、土地の購入費用を融資で賄っている場合、収入の減少により、返済計画に支障が生じるリスクをともないます。
くわえて、契約によっては、所有者として修繕やメンテナンスへの対応が必要です。
契約当初の収入を基にメンテナンス計画を立案すると、頓挫する可能性もあります。
まとめ
家賃債務保証とは、賃貸物件の借主が家賃を滞納した際に備えて保証会社と契約するサービスです。
連帯保証人を依頼しにくい人が入居できるなど入居率を改善できるメリットがあります。
サブリースは、運営も一括で委託できる契約ですが、経営に関与できない点や手取り谷内が8~9割になる点が違いです。
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