通常物件の売買より、安く手に入れることができるため注目されている競売物件。
手続きに関しても、複雑なものはなく手間がかからないため、負担も少なくて済むのが特徴です。
一方、購入方法が特殊であるため、気を付けていただきたいポイントも存在します。
そこで今回は、競売物件について説明したうえで、競売物件で購入する際のメリットとデメリットについて解説します。
\お気軽にご相談ください!/
不動産を購入する際の競売物件とは
競売物件とは、住宅ローンの返済が不能となり、裁判所を通して担保となっている家や土地などの不動産を強制的に売却された物件のことを言います。
住宅ローンを組んでいる不動産には、ローンが返済不能となった場合に、担保として不動産を差し出す「抵当権」があり、その抵当権により強制的に売却できるという仕組みです。
通常の物件との大きな違いは、担保となる不動産を裁判所に差し押さえられているため、売主が存在しないことです。
通常はローン契約者の意思で売却をおこない、売主から物件が引き渡されますが、競売の場合は売主が存在しないため物件の引き渡しもおこなわれません。
そのため、裁判所が所有権移転の手続きをおこなうことで所有権を手に入れることができます。
競売にかけられた物件を購入するには、期間内に「入札」をおこない一番高い価格で入札した人が購入できるという仕組みです。
また、住宅ローンを返済できなくなった場合のほかの方法としては「任意売却」があります。
しかし、所有者が任意売却を選ばなかった場合は、競売へと移行します。
購入の流れ
競売物件が公開されると、裁判所の執行官らの調査に基づいた「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」の3点セットから物件情報を得ることができます。
まず、3セットの情報をもとに購入価格を決めます。
物件には、入札の目安価格である「売却基準額」と最低の入札価格である「買受可能額」があり、入札の際は買受可能額以上の金額に設定しなければなりません。
入札は公告の3週間後から開始し、1週間程度で締め切ります。
管轄している裁判所の執行官室で入札用紙に必要事項を記入していきます。
入札の際は、売却基準額の20%相当の「買受申し出保証金」という保証金が必要です。
そして、入札後は開札がおこなわれます。
入札の締め切りから1週間後になることが一般的で、競売はもっとも高い金額で入札した方が買受人になります。
すると、代金の納付期限の通知が送付され、納付の期限は原則一か月以内です。
この期限までに、入札申し出額から保証金額を引いた額を裁判所に納め、納付完了とともに所有権が移転します。
これで、引き渡しまでスムーズに進めば終了となります。
しかし、引き渡しが受けられなかった場合は、引き渡し命令の申し立てをし、裁判所から引き渡し命令を出してもらわなければなりません。
また、強制執行をおこなう場合は、退去執行に別途費用が発生します。
不動産購入する際に競売物件を選ぶメリット
ここでは、競売物件を購入するメリットを3つご紹介します。
購入費用が抑えられる
競売にかけられた物件は、購入費用が安いことが最大のメリットです。
これは、競売ならではの特殊な事情により、あらかじめ価格が調整されています。
通常の物件と比較すると3割程度安く購入することができます。
また、落札者のほとんどは不動産業者や法人であるため、リフォームを施工し再販売することも少なくありません。
なぜなら、通常よりも安く手に入れることができ、リフォーム後に再販売しても利益が出るためです。
さまざまな物件がある
不動産会社を介さないため、不動産市場では流通していないさまざまな物件があります。
形状が特殊な土地や狭い土地、農地や一棟アパートなど、築年数や種類も豊富なのが特徴です。
そのため、賃貸物件を一棟購入し経営したい方や、都心でトランクルームとして使用する狭い物件なども比較的安く手に入れることができます。
また、住居を解体し老人ホームや商業施設などの大型施設の建設を考えている方にもおすすめです。
手続きの負担が少ない
競売物件の場合は、購入の際の手続き負担が少なくて済みます。
所有権移転登記や抵当権の抹消登記などの複雑な手続きは裁判所がおこなってくれます。
そのため、購入者は入札用紙と暴力団員でないことを証明する書類を提出し、保証金を納付後に残金の納付が終わると手続きは完了です。
通常の物件は、司法書士に依頼したり、売買契約書を交わしたあとで費用を支払うという手間がかかりますが、競売物件の場合はこうした手間がかからない分負担は少ないと言えるでしょう。
不動産購入する際に競売物件を選ぶデメリット
上記では魅力的なメリットについてご紹介しましたが、気を付けていただきたい点も存在します。
ここでは、競売物件を購入する際のデメリットを4つご紹介します。
引き渡し義務がない
競売物件の価格が安いのは、売主が存在しないため引き渡しの義務がないというのが理由のひとつです。
裁判所が差し押さえをおこなった物件ですが、住人が不法占拠している可能性もあります。
このような場合は、自分で裁判所に行き引き渡し命令の申し立てをおこなわなければなりません。
引き渡し命令も聞かず住み続けている場合は、強制執行の申し立てをおこないますが、退去にかかる費用は自己負担となるため注意が必要です。
通常の売買の場合は不動産会社がおこなってくれますが、競売による物件では申し立ての段階から自分でおこなわなければなりません。
内覧ができない
競売物件では原則、事前に内覧ができないため、「物件明細書」「現況調査報告書」「評価書」の3点セットから情報を得なければなりません。
「物件明細書」は賃借権の有無や物件に関する権利がまとめられたものを言い、「現況調査報告書」は建物の種類や構造、物件や土地にどのような用途で使用されているかが記載されたものです。
また、現況調査報告書には室内の資料写真が添付されているため、競売物件では貴重な情報源となるでしょう。
「評価書」は競売物件の周辺環境や評価額、不動産の図面などの資料のことを言います。
期限がある
競売物件では、裁判所が定めた期間内に入札書を入れる「期間入札」で購入します。
もっとも高い金額で入札した人に権利が明け渡され、入札後に落札を取り消すことはできないため、慎重におこないましょう。
また、入札の際は保証金として、売却基準価額の20%以上の金額を納付しなければなりません。
基本的にこういった手続きは自分でおこなわなければなりませんが、不動産会社によっては代行サービスをおこなっている会社もあります。
契約不適合責任が存在しない
競売物件には、売主がいないため「契約不適合責任」が存在しません。
そのため、通常の物件購入のように宅地建物取引主任者が重要事項説明をおこなったり、調査内容に不備があった際に不動産業者が責任を取るといったこともありません。
万が一、不備や汚れ、破損が見つかった場合、自己負担で修繕や清掃をおこなわなければならないため注意が必要です。
また、競売物件でも人気のある地域の場合、落札価格は高くなる傾向にあり、通常売買されている中古物件とあまり変わらないというケースも少なくありません。
まとめ
競売物件とは、住宅ローンの返済が不能となり、裁判所を通して担保となっている不動産を強制的に売却された物件のことです。
購入のメリットは、価格が安く物件の種類も豊富で、手続きの負担が少ないことが挙げられます。
一方、引き渡し義務がないうえ、事前に内覧ができないのがデメリットでもあるため注意が必要です。
\お気軽にご相談ください!/