所有するマンションの敷地内で事件や事故が起きた場合、資産価値にはどのような影響を与えてしまうのか、考えるだけでも恐ろしいのではないでしょうか。
今回は、敷地内で起きやすい事故例から、何かあった場合に資産価値への影響や事前に備えておくべきことなどを解説します。
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マンションの敷地内で起きる場所別の事故事例
マンションで起きる事故を、敷地内全体、居住者の専有部分、住人が共有して利用する共有部分の3つに分けて解説します。
建物全体:自然災害による事故
誰にとっても脅威となる台風や暴風雨、地震などの自然災害が起きて、マンションが損壊してしまう場合があります。
普段はなんともない電柱や屋根材でも、強い雨と風の影響により簡単に吹き飛ばされ、窓や建物にぶつかる可能性が高くなるでしょう。
2019年9月に最大瞬間風速57.5m/sを記録した台風15号により、千葉県のゴルフ練習場の鉄柱が倒壊し、住宅が押し潰される事故が起きました。
2011年3月の東日本大震災では、建物の柱や壁にひび割れや曲げが発生し、大規模な修繕を要すると判断されたマンションが宮城県内で15棟、全体の1%程度でした。
しかし、損傷は軽微だが相当な修繕が必要なマンションは、175棟で全体の12%まで範囲が広がっており、決して軽視できる数値ではありません。
このように、人の予想を超えた被害が起きる自然災害では、安全だろうと思っていた対策でも十分ではなく、さまざまな被害をもたらします。
専有部分:居住者の気の緩みや不注意が原因の事故
居住者のみが利用できる専有部分では、利用時の不注意や気の緩みから事故が起きやすく、居住者同士でのトラブルに発展する例も少なくありません。
よくあるのは駐車場での接触で、隣の車にドアをぶつけてしまったり、駐車時に接触して傷つけてしまったりなどです。
室内での例では、バルコニーやベランダに置いてあるプランターなどが落ちて、階下の住人や下を歩いていた方に被害を与える可能性があります。
また、お風呂にお湯を溜めているのを忘れて、階下の天井に染み渡るほどの水漏れが起きてしまうことは、実際に被害にならないまでも、ヒヤリとすることは多いでしょう。
これらは利用する居住者のほんのちょっとした気の緩みや不注意から起きているため、被害を減らすのは難しいと言えます。
共有部分:安全管理やメンテナンス不足が原因の事故
マンションの敷地内にある設備や共有部分では、安全管理や日頃のメンテナンスが不十分な場合に事故が発生します。
エレベーターの扉が閉まらないまま動き出してしまったり、人が出入りしている最中に扉が閉まりかけたりなど、正しく整備されていないことが伺えます。
タイル張りの建物はほかと外観の差を付けやすいですが、雨水の浸透などによってタイルが剥がれ落ち、人にぶつかってしまったら大問題です。
何が危険を及ぼすかを予知することと、定期的なメンテナンスと日頃からの細かなチェックがなければ、こうした事故は簡単に起きてしまうでしょう。
マンションの敷地内で起きる事故!資産価値への影響
マンションの敷地内で起きた事故の内容を問わず、たとえ不測の事態であったとしても、マンションの資産価値には大きな影響を与えます。
資産価値を下げる事故物件の4つの種類とは?
マンションの資産価値を下げる原因はさまざまですが、その原因別に心理的瑕疵物件、物理的瑕疵物件、法的瑕疵物件、環境的瑕疵物件の4つに分けられています。
心理的瑕疵物件は、殺人事件や火災、孤独死などが起き、設備や内装に問題はなくても心理的に安心して住めない物件を指します。
物理的瑕疵物件は、地盤沈下や壁のひび割れなど、建物がある土地や建物自体に問題を抱えている物件のことです。
ほかには、国の安全基準を満たしていない法的瑕疵物件と取り巻く環境に問題がある環境的瑕疵物件の2つがあります。
マンションの敷地内で事故が起きるとすれば、心理的瑕疵物件か物理的瑕疵物件のどちらかの原因がほとんどでしょう。
3つの例から考えられる資産価値への影響とは?
マンションの資産価値を下げる原因をより具体的に想定するために、発生場所別の3つの例から、どのような影響があるのか考えてみましょう。
まずは、台風などの自然災害などによって建物自体にひび割れや歪みなどの影響が出てしまった場合、建物の外観や内装の美観を損ねて、資産価値を大きく下げてしまいます。
壁に大きなひび割れがあると、現在お住まいになっている住人にとっては倒壊の不安を与え、入居希望者には正しく管理されていないイメージを持たれてしまうでしょう。
駐車場やエレベーターなどの事故で人身に被害が出てしまった場合には、きちんとした安全管理ができていないイメージが植え付けられます。
さらに、ニュースで取り上げられるほどの大きな問題となると、マンション全体のイメージダウンに繋がることは避けられないでしょう。
それが人の死が絡む心理的瑕疵に該当する場合には、マンションの売却価格は20~50%も下がると言われています。
マンションの敷地内で起きかねない事故への事前の備え
いつどのようにして事故が起きるのか完璧に予測することは困難ですが、ある程度の予測を立てて、備えることは可能です。
マンション管理組合向けの火災保険への加入
災害や事故はいつ起きるかわからないからこそ、いざという時の備えを怠らないよう、事前にできることをしておきます。
建物が損壊した場合には、修繕費用をどこから捻出するかが大きな問題となりますが、火災保険に加入しておけば支払いに困ることはありません。
保険の範囲を広げておけば安心はできますが、高額になりすぎた保険料の支払いに困窮するのでは、正しく備えているとは言えません。
災害に対しての備えならば、マンションがある土地で起きやすい災害は何か、過去に起きた事例を調べ、補償範囲を決めるのが良いでしょう。
すべての災害や事故に対して、1つの保険でまかなうのは難しいため、保険加入以外にもすぐに動かせる現金を用意しておくのもおすすめです。
建物全体への定期的な点検による状態の把握
マンションの外観と、外から見ただけではわからない建物内部の経年劣化を見逃さないよう、定期的な大規模点検は必要不可欠な備えです。
大規模な点検をおこなう適切な時期は築20年と言われており、そのころになると外部だけでなく内部の点検もやっておかなくてはならないでしょう。
まずは、建物の外観から外壁の剥離やひび割れがないか、シーリング剤やコンクリートの劣化具合などの基本的な項目を点検します。
外から見ることの難しい配管は、見えないところで破損や腐食が起きていることが多いため、ファイバースコープや超音波検査が効果的です。
地震大国と呼ばれる日本では、建築時に厳しい耐震基準を設けていますが、経年劣化によって耐震性が損なわれていないか、定期的に点検することをおすすめします。
小さな異常を見逃さない日頃のチェック体制
上記のような大がかりな点検のほかにも、日頃から異常が起きていないかチェックする体制があることは重要なポイントです。
エレベーターのボタン操作が効きにくい、動作がいつもと違うように感じられたなど、「いつもと何か違う」と感じられたのに、そのまま放置しておくと大きな事故に繋がりかねません。
リスクを下げるには、いつもとは違う違和感や小さな異常を感じたら、臨時で点検をおこなう体制を整えておくと良いでしょう。
ご自身や選任した管理人がチェックしても構いませんが、より専門的にチェックするならば、専門業者に依頼します。
まとめ
普通に暮らしているだけであれば、何も起きない平穏な暮らしが待っているかのように思うものです。
しかし、実際にはふとした不注意や想定外の災害によって思わぬトラブルが発生するリスクがあります。
どのようなケースが想定されるのかを知り、住人への注意喚起や事前の備えをおこない、日頃から安全に管理できる状態を心がけましょう。
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