「第7話」相続時精算課税制度をお勧めする贈与
☆将来相続税のかからないお客様
☆少しだけ相続税がかかりそうなお客様
そんなお客様には『相続時精算課税制度』がお勧めです!
「例えば」
3,500万円の財産を持っているBさんという人がいたとします。
このBさんのお子様が自宅を購入することになったので、頭金として1,500万を贈与してあげたいと考えました。
しかし1,500万円を贈与した場合…
金額を「(贈与額 - 基礎控除) × 税率 - 控除額」にあてはめると
※基礎控除額は年間110万円です。
贈与税が366万円もかかってしまいます!
※税率と控除額は下表の通りです(平成27年1月1日以降)。
右記以外の通常の場合 |
直系尊属→20歳以上の者の場合 |
||||
基礎控除及び配偶者控除後の課税価格 |
税率 |
控除額 |
基礎控除及び配偶者控除後の課税価格 |
税率 |
控除額 |
200万円以下 |
10% |
─ |
200万円以下 |
10% |
─ |
300万円以下 |
15% |
10万円 |
400万円以下 |
15% |
10万円 |
400万円以下 |
20% |
25万円 |
600万円以下 |
20% |
30万円 |
600万円以下 |
30% |
65万円 |
1000万円以下 |
30% |
90万円 |
1000万円以下 |
40% |
125万円 |
1500万円以下 |
40% |
190万円 |
1500万円以下 |
45% |
175万円 |
3000万円以下 |
45% |
265万円 |
3000万円以下 |
50% |
250万円 |
4500万円以下 |
50% |
415万円 |
3000万円超 |
55% |
400万円 |
4500万円超 |
55% |
640万円 |
子供のために少しでも足しにして欲しいと贈与を考えても、こんなに税金かかってしまっては贈与を断念してしまいますよね。
そんな時にこそ「相続時精算課税制度」が役に立つときです!
第6話をお読みいただいているお客様には、このBさんが相続時精算課税制度を使えば1,500万円を非課税で贈与できることをご存知ですね。
では…
詳しくひも解いていきましょう。
贈与をした後のBさんの財産額は3,500万円から1,500万円を引いた2,000万円です。
将来このBさんが亡くなってしまった時、手元の財産2,000万円に、贈与をした1,500万円を加算した3,500万円で相続税を計算することとなりますが、3,500万円は相続税の基礎控除の金額を下回りますので、相続税がかからないのです。
このようなシチュエーションであれば、相続時精算課税制度は非常に良い制度と言う事になります!
また将来少しだけ相続税がかかりそうなお客様が、生前中に110万円以上の贈与をしなければならない事情がある場合にもこの制度は有効です。
最後に相続税の算出方法についてまとめてみました。
相続税額は以下の段階を経て求められます。
1, 正味の遺産額(課税価格の合計額)
=相続財産 + みなし相続財産 - 非課税財産 - 債務・葬式費用 + 3年以内の贈与財産
※みなし相続財産 … 死亡保険金、死亡退職金など
2, 課税される遺産総額
=正味の遺産額 - 基礎控除額※基礎控除額 … 3000万円+600万円×法定相続人数
3, 法定相続分による各取得金額
=課税される遺産総額 × 各法定相続人の法定相続分
4, 各法定相続人の税額算出
=法定相続分による各取得金額 × 税率 - 控除額
基礎控除後の課税価格 |
税率 |
控除額 |
1000万円以下 |
10% |
- |
3000万円以下 |
15% |
50万円 |
5000万円以下 |
20% |
200万円 |
1億円以下 |
30% |
700万円 |
2億円以下 |
40% |
1,700万円 |
3億円以下 |
45% |
2,700万円 |
6億円以下 |
50% |
4,200万円 |
6億円超 |
55% |
7,200万円 |
5, 相続税の総額
=各法定相続人の税額を合計
6, 実際に各人が納付する税額
=相続税の総額 × 実際の財産取得割合 - 税額控除※税額控除 … 配偶者の税額軽減、贈与税額控除、未成年者控除、相次相続控除など
以上となります。
贈与する金額にもよりますが、贈与税の負担と相続税の負担を比べて、どちらが有利になるかによっては、相続税で課税する方が有利になることもあります。
以前からお話ししている通り、相続時精算課税制度は贈与をする時には非課税ですが、相続が起きた時に課税にした分を精算して課税する制度です。
あえて言います !
この制度は節税をしたい人のための制度ではなく、将来的に相続税の心配がないお客様や、少しだけ相続税の負担が出そうなお客様が、110万円を超える生前贈与しなければいけない事情があるときのための制度なのです!
将来的に財産額がこの基礎控除を下回る見込みのお客様におかれましては、相続時精算課税制度は効果を発揮します。
しかし、そうではないお客様はこの制度を使うと節税にはなりませんので、「節税にならなくても早く贈与しなければいけない」というお客様以外は使わない方がいいでしょう・・・。
「いつか来る子供への贈与に備えて知っておきたい。」
弊社ではこのような要素をお客様ごとにお聞かせいただき、配偶者に相続財産のどれくらいを相続してもらうことが一番有利になるか、その「目安」をシミュレーションさせていただきます。
具体的ではないけど、次の代で苦労しないためにしておけること…など、
当社独自のネットワークを活用し、多種多様なニーズをサポートいたします!
まずは下記「お問い合わせフォーム」より、無料相談へお気軽にご相談ください。
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さて2週にわたってお送りした相続時精算課税制度。
その良し悪しをご理解いただけましたでしょうか?
なかなか奥が深い相続時精算課税制度ですが第7話はこの辺で…。
次回は今までの話を理解していただいたうえで「二次相続を考えた賢い遺産分割」についてお話します。
どうぞお楽しみに!
東京都調布市にお住まいの方で、任意売却について詳しく知りたい方はこちら。