「第10話」貸付事業用の小規模宅地特例に大きな税制改正②
~前回までのあらすじ~
平成30年4月1日の「貸付事業用の小規模宅地特例」に大きな税制改正が行われる前…
この効果に目を付けて、相続税を減らす目的だけで賃貸物件を購入する人が非常に増えてしまいました…。
皆様の身の回りにも、そういった方がいらっしゃられるのではないでしょうか?
そのような背景があり、相続税を減らす目的だけで不動産賃貸業を始める人には、この特例は認めないという考えのもと、平成30年4月1日より特例の条件が厳しくなりました。
ここまでが前回までのお話
しかしその反面、賃貸不動産を相続した人が、不動産賃貸業を継続させやすいよう、税制面からもバックアップしますという、特例を使いやすくする動きもあります。
「事業的規模の期間は相続で引き継げる」
前回、「亡くなる3年以上前から事業的規模で不動産賃貸業を営んできた人は、亡くなる直前に賃貸不動産を購入してもいいですよ。」とお伝えしました。
先のことを踏まえ、例えば次のようなケースはどうなるか考えてみましょう。
「例えば」
①もともと事業的規模で不動産賃貸業を営んできたAさんという人がいます。
②このAさんが亡くなってしまい、妻のBさんが賃貸不動産を相続しました。
③妻のBさん自身はもともと賃貸不動産を持ったことは一度もありません。
④この相続のあと、妻のBさんは新たに賃貸不動産を購入しました。
⑤その後、購入してから3年経たず、Bさんも亡くなってしまいました。
この場合、Bさんが新たに購入した賃貸不動産には特例が使えるでしょうか?
ちょっと考えてみましょう…
ポイントはAさんが事業的規模で営んできた期間が、Bさんに引き継がれるかどうかです。
引き継がれるのであれば、Bさんも3年以上事業的規模で営んできたことになるので、亡くなる直前に購入したものであっても特例が使えます。
一方で、もし引き継がれないのであれば、3年以上事業的規模で営んできたことにはならないので、特例は使えません。
答えは…『 特例を使えます!』
3年以上事業的規模で不動産賃貸業を営んでいたかの判定基準は、相続時に引き継がれるのです。
「平成30年3月31日までに購入していれば3年内でもOK」
平成30年4月1日にスタートしたこの改正ですが、公表されたのは平成29年12月なんです。
それまでこの改正の噂はまったく出回ってなかったので、まさに「不動産賃貸業を始めよう」とお考えの方には「寝耳に水」だったでしょう…。
世の中には既に相続税対策として、賃貸不動産を購入してしまった人もたくさんいます。
その人たちに事前の告知もなしに税制改正してしまうのは流石にかわいそう…
ということで、平成30年3月31日までに不動産を購入した人には、購入してから3年以内に亡くなってしまったとしても特例が受けられるようになっています。
ただし、平成30年3月31日までに購入しただけでなく、実際に賃貸を始めていることが要件になりますので、ギリギリ駆けこみ購入しただけで、まだ賃貸業を開始してなかった!などという場合には受けられません。
! 注意しましょう!
【まとめ】
2週にわたってお送りしました「貸付事業用の小規模宅地特例に大きな税制改正」①と②。
アパートや駐車場として使っている土地は200㎡まで50%引きにできるこの特例…
上手く使えるなら使いたいですよね。
ただ、亡くなる前3年以内に購入したものには、原則としてこの特例は使えなくなりました。
例外として、事業的規模と呼ばれる不動産賃貸業に本腰をいれている人たちは、この取り扱いから除外されています。
改正を踏まえた対策としては…
①賃貸不動産を買うなら早めに(相続を見越すのではなく)買う!
②既に不動産賃貸業を営んでいる人は、事業的規模(5棟10室基準)と認められるように規模を拡張する!
③そもそも賃貸物件で50%評価減をとるアプローチから、自宅で80%評価減を受けるアプローチに変更する!
などが挙げられます。
3年以上事業的規模で営んでいたかどうかは、過去の確定申告書を見れば一発でわかりますので、その場しのぎでごまかそうとか考えないでください…(笑)
対策したいが何から始めれば良いのかわからない…
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さて、2週にわたってお話ししました「貸付事業用の小規模宅地特例の改正」について、何となくご理解いただけましたでしょうか?
次回は意外と身近な「婚姻期間20年以上の夫婦間贈与の特例」についてお話します。
どうぞお楽しみに!
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